リーディングセッションにて、精神的なトラブルや、葛藤についての質問をうけるとき、その原因は骨ですよ、とお伝えすることがあります。
骨…?
そう。骨なんです。
普段、皆さんは骨なんて気にすることがありますか…?
骨というと死んでしまったあとの、乾いたカラカラのアレ、というイメージが皆さんあるかもしれませんが、生きている皆さんの内側にある骨は死んでしまったあとのアレとはだいぶ違います。
生きている骨には、湿り気とぬくもりがあり、他の内臓と同じように生きている器官なのです。
よく「内臓には意識や感情がある」なんて最近言われますが、骨にもしっかりと意識があります。
骨は、誰もが知っている通り、人体のベースであり、なくてはならないものです。
骨には様々な役割がありますが、アカシックレコードの視点で骨を見るとき、
「エネルギーを守り、記録し、ためるもの」
という役割を果たしています。
たとえば亀の甲羅は肋骨が進化してできたもの、という話を知っているでしょうか?
亀の先祖が「自らを守るために何かの力がほしい」と思ったときに、身体の部分の骨がその役割に一番適していたので、あのような姿になったのでしょう。
私たちは何かあったときに、自分を守ります。
こわいとき、どなられたとき、自分には無理だと思ったとき。
よく子どもは、肩と首をぎゅっとすくめますよね。
そう…!!亀みたいに。
まさにその瞬間!!
骨と関節の内側に、その体験の記憶と、エネルギーをため込んでいるのです。
そういった恐怖などの体験をため込むたびに、骨や関節は固くなっていきます。
特に大腿部、肩、首などの大きな関節には大きな恐怖や葛藤のエネルギーをため込みます。
関節の痛みや、肩こり、首の痛みなどをクライアントさんがうったえる場合、このように、骨にため込んだ恐怖と葛藤のエネルギーが、骨格のゆがみを生み、それが痛みの原因となっている場合が多くあります。
このようなとき、私は「骨が原因ですよ」とお伝えすることがあるのです。
またここから話はすこしテーマが変わりますが…。
どこの国でも、亡くなった人の骨を、墓などの形で大切に扱う習慣があることは、皆さんご存じだと思います。
実際に骨には、生前の人物が残したエネルギーの蓄積と記憶が宿っており、その骨を丁寧に扱うことは、本人の意志を尊重し、それを守り、引き継ぐことそのものとなるのです。
聖人の遺骨を持つことで何か大きな力を得るといった物語は昔からありますが、ある部分で、それは真実であり、実際に覚醒した人物の骨はあらゆる叡知を引き出すことができるデータバンクとも言えるのです。
コミック、ジョジョの奇妙な冒険、第7部スティールボールランはそのような古代の物語をベースに、イエス・キリストの遺骨を巡り、冒険が展開されていきます。
また私が読んだ数ある小説のなかでも思い出深い作品、村上春樹の「世界の終わりとハードボルイドワンダーランド」のなかでも、骨の記録が重要な鍵の役割を果たします。
主人公の内側の物語のなかで、主人公は「夢読み」という仕事を与えられます。
壁の内側に閉じ込められた人間界と、外の世界を行き来する、鹿のような一角獣がその世界にはおり、主人公はその獣の頭蓋骨から発せられるかすかな光を、夢読みの特別な視力で感じ、その頭蓋骨のもつ「古い夢」を読み取ります。
古い夢とは人類が集合意識のなかでため込んできた、「弱者の痛み」。
外の世界では、組織の騙しあいと秘密主義があふれる東京で、論理的に考え、自らを守るためだけに行動する主人公が、内面の夢のなかでは、夢読みとして「弱者の痛み」を読み続けます。
そしてある臨界点に達したときに、一角獣が頭蓋から発せられるあたたかな記憶の光によって、内面と外面がつながり、ふたつの世界が統合され、物語は終焉へと向かいます。
いま読み返してみても、骨というものの特性と不思議を見事に活かした作品ですね。
ふと、こんな想像が私の脳裏をよぎります。
私たちが立つこの大地の下には、これまで生きていた生物たちのすべての骨が埋まっている。
その骨は生前の記憶を保持し、かすかな光を発し、続けている-。
普段は見ることのできないその光。
すこしだけ、呼吸に意識をむけて、あたまのおしゃべりが止まるとき。
その光はやさしく過去の物語をあなたに語りかけてくれるのかもしれません。