20代の頃によくティックナットハンの本を手にとっていました。
ティックナットハンは日本ではそれほど名が知られていませんが、アメリカやヨーロッパ圏ではダライラマと同様に名の知られているベトナム人の僧侶です。
仏教というと理論的雰囲気、あるいは修行的な雰囲気を感じる方も多いかもしれませんが、
ティックナットハンの教えはなんというか、とっても穏やか。
そして彼が言っていることは、本当に日常に根ざしています。
しかしそのやさしさと穏やかさの裏には、ベトナム戦争のなか、仏教の実践を命懸けで行ったすさまじい信念があります。
ベトナム戦争にて、弾丸が飛び交う最中。
僧侶たちは何事もなかったかのように歩き、
心の争いがないとき、一切外側の戦争は存在しない
と、仏教を単なる教義ではなく「実践し、行動し、示すもの」とした「行動する仏教」の在り方を示した偉大な僧侶です。
そのティックナットハンの教えは本当にわかりやすく、そして奥深いものがあります。
今回は、彼の教えのなかで「怒り」に関する部分を少しだけ紹介してみたいと思います。
『仏の教え ビーイングピース ティックナットハン著』より
もし、怒りを感じたなら、それについて、どのように瞑想すべきでしょうか?
(中略)
怒りを戦いの相手とすべきよそ者とは、私は考えないでしょう。
また外科手術によって除去すべき、不適当なものとは、考えないでしょう。
怒りが私であり、私が怒りであることを、私は知っています。
(中略)
私自らが怒りであり、私がそのなかにおり、私が怒りそのものなのです。
仏教では、怒り、憎しみ、むさぼりを、戦って、破壊し、絶滅すべき敵だとは考えません。
怒りを絶滅させることは、自らを絶滅させることです。
そのように怒りに対処することは、自らを戦場に変え、自らを分断して、一方を目覚めた人の味方にし、一方をマーラ(悪魔)の味方にすることになります。
このように悪戦苦闘することは、自らに暴力をふるうことです。
もしあなたが自らに対して、慈愛をもつことができないならば、ほかの人たちに対しても慈愛を持つことはできないでしょう。
怒りを感じたとき、はっきりとした心をもって、「私は怒っている。怒りが私のなかにある。私が怒りなのだ」と自らに言い聞かせるべきです。
これが最初になすべきことです。
(中略)
いらだちは有害なエネルギーです。
しかしこのエネルギーを破壊することはできません。
もっと建設的なエネルギーに変えることができるだけです。
許しは、建設的なエネルギーです。
理解は、建設的なエネルギーです。
あなたが砂漠のなかにいるとしましょう。
コップに一杯の泥水があるだけです。
その水を飲むことができる、澄んだ水に変えなければなりません。
この水を捨てるわけにはいきません。
そこであなたは、水をしばらく、静かにおいておきます。
すると、澄んだ水があらわれます。
同じように、私たちは、怒りを、もっと建設的なエネルギーに変える必要があります。
なぜかといえば、怒りはあなただからです。
怒りがなくなればあなたには何も残りません。
これが瞑想の働きです。
(中略)
怒りについての瞑想は、第一に「私は怒っている」というはっきりとした理解に達することです。
それから、怒りのありようを深く見つめます。
『仏の教え ビーイングピース -ほほえみが人を生かす ティックナットハン著 中央公論新社 P60-63』
以上、引用終了
私自身、本当に怒りが強い人間でした。
いまも元々の性格ははっきりいって変わっていません。
ですが、いまと昔の違いは、自分で自分の怒りを知っているということです。
ティックナットハンが書いているように、
怒りがあなただとわかること。
怒りがなくなったら、自分には何も残らないと知ること。
これが本当にわかるのには時間がかかります。
そして
どうやって自分が傷ついてきたのか?
誰に助けてほしかったのか?
あるいは誰にいま助けてほしいのか?
それがわかるとき、怒りはゆっくりと別のものへと変容していきます。
ブッダプログラム
「怒りの解放ワークショップ」
※2015年12月6日満席大盛況にて終了しました。
以下、詳細を張り付けます。
詳しくはHPの方をご覧くださいませ。
怒りの解放ワークショップ
http://www.buddha-program.com/wp/anger-001/
怒りの解放ワークショップ 12月6日(日)開催!
爆発しそうな怒りや、表現できないけど鬱積した怒りを、解放するためのワークショップです!
誰もが持っている基本的な感情「怒り」。
あなたは普段どんなことに怒りを感じていますか?仕事上のトラブル、人間関係の不満。家庭内のトラブル。なにげないことにイラッ!!としてしまう自分。昔のことを思い出して、いまだにムカッ!と腹が立つこと。などなど。
怒りを感じる状況を考えてみると、多種多様な怒りがあるように思えます。
しかし怒りはたったひとつのことから生まれています。
それは「傷ついた」という想い。
怒りと傷ついたことがどう結びつくのでしょう?
私たち人間は根源的に誰もが認めてほしい、わかってほしいという想い-承認欲求-をもっています。
そして認めてほしい!という想いが満たされないとき、拒絶されたのだと傷つき、怒りという感情を抱えることになるのです。
このとき傷ついた想いは意識されないまま残り、怒りは言動として外に現れます。
まるでコインの裏表のように。表にあらわれているのは怒りであり、裏に隠れているのが傷ついた想いというわけです。
つまり怒りとは「傷ついた想いの表現」であり、怒りを探っていくと、必ず傷ついた想いに繋がっていくのです。
このワークショップではまず怒りのメカニズムを発達心理学や脳科学的な観点からお伝えし、
仏教なとによる、自己認識のテクニックを用いて、自分自身の怒りの源を探っていきます。
そしてグループで行う、とても強力な「怒りの解放の呼吸法」を行い、あなたの内側になる爆発しそうな怒りをダイナミックに解放していきます。
普段は大丈夫なのだけど、家族などとのぶつかりあいのときに、怒りを爆発させてしまい、他の人を傷つけ、何よりも自らが一番苦しむことになる方。
また怒りを内側に抱えたまま、なかなか表現できない方など。
現代人が誰でも抱える「怒り」は本当に大きなテーマです。
普段はなかなか表現することができない怒りを解放する機会として、このプログラムをご活用ください。
【ワークショップ内容】
- 怒りの源を知る
- 怒りの爆発を表現する
- 怒りと傷ついた想いの解放のための呼吸法
- マインドフルネスの瞑想
- 怒りを人生の創造力へと変える三つのプロセス
【こんな方におすすめです】
- 虐待などのトラウマを抱えている方
- 怒りを抑制できない方
- 感情の解放が不得意な方
- 自分の意見を伝えたり、自分をさらけ出すことが苦手な方
- 忍耐強い方、自分に厳しい方
- つい頑張ってしまう方
- 孤独を感じている方
- 離婚したいなど、家族問題を抱えている方
12月6日(日)
時間:13:00~17:00(開場12:30~)
料金:15,000円(税込)
定員:20名(残席あと10)
場所:田園調布長田整形外科 クリニック内
東京都大田区田園調布2-41-2
NTT田園調布ビル1F