本当に大切なことに
意味はない。
生後2ヶ月半の息子は、
最近、一生懸命おしゃべりをする。
僕の目をじっとみて、
にこにこわらいながら、
あるいはとても真剣なまなざしで。
僕の大人のあたまは、
その言葉の意味をさがそうとし、
その言葉に意味がないことを知ると、
その言葉を捨てようとする。
だけどそうじゃない。
「本当に大切なことに意味はない」
いま僕の息子が話してくれる、
とても可愛くて、
とてもまっすぐな言葉は、
意味がない言葉だからこそ、
たぶん本当に大切なんだろう。
風の音に意味がないように、
波の音に意味がないように。
あらゆる根元的な命の叫びには
どんな意味も必要はないはず。
息子はとてもやさしく、
かわいらしく、
唄うように、
命そのものの言葉を
僕に叫び続けている。
それは僕を大きくゆさぶり、
たとえようもないなつかしさと
涙を呼び起こす。
本当に大切なものに
意味はないのだ。
僕がこれまで失ってきたものたちと同じように。