仏教

あなたの家の住人たち

あなたの家の住人たち

自分を知れば、知るほど、いろんな自分がいることに気がつく。

まるでそれは家のなかの住人のようだ。

あなたの家にはいろんな人がいる。

いろんな人がいればもちろんダメな奴もいるだろう。

うじうじ、悩んでいる人。

移り気で、何一つ続かない人。

わがままばっかり言っていて、子供っぽい人。

そしていろんな人がいれば、前向きな奴もいるだろう。

明るくて、進んでいく力がある人。

正直で、的確な意見を言える人。

思慮深く、冷静な人。

まるで別々の人格がいるかのように、時と場合によってどんどんと移り変わる。

自分を変えていこうとすることは、このダメな自分を追い出して、前向きな自分を大事にすることだと勘違いしてしまうことがある。

それはまるで家族の誰かを追い出し、そうすればうまくいくだろうとおもうようなもの。

でも家族のメンバーそのものは変えることはできないのだ。

なぜなら、内なる家族の住人たちは、それぞれあなた自身だから。

どうすればいいんだろう?

できることはたったひとつ。

「ああ。いろんな人がいるんだな」

とただわかること。

こんな奴がいて恥ずかしい、こんな奴は隠しておきたいと思う。

だけどダメな人はそこにいる。

前向きな人たちと喧嘩もするだろうし、お互いがつくづく嫌になることもある。

どちらかを無理やり変えようとして、厳しくすることもあるだろう。

そうして長い時間をかけて気がつくことは、

いるならいるでしょうがない

この自分たちでやっていくか

という、ひらきなおり。

ある意味これは、ひとつの悟りだ。

いろんな自分がいることを、そのまま隠さずわかっていること。

そのひとつの悟りがひらけたなら、

はじめてその家のなかがおだやかになる。

はじめて、内なる自分自身たちが、おびやかされず、高ぶらず、おだやかでいられる。

自分の家がおだやかでなければ、何を外からもってきたとしても、そこにはむなしさが残るだけだろう。

 

写真/鎌倉明月庵

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