「共振」
何かこころに残る体験や、
感動をしたとき。
そこには記憶がたしかにあるけれど、
一番残るのは、
「共振」
の感覚。
自分の内側にずっと昔からあったけれど、
現実として現れたことが一度もなかったものが、
目の前にひらかれたとき、
あ…!!!
と、感じるその感覚。
共振。
自分の内側と現実の外側がひかれあい、
ふるえる、その感覚。
それは恋であるかもしれないし、
特別な人や、
自分に一番近い教えとの出会いでもあるかもしれない。
出会ったときから、
ふたつのものがゆっくりと振動をはじめて、
徐々に共振はつよさを増し、
あるとき
パーン!!
と内側と外側の境界線が弾ける。
こころが震える、と人がおもうとき、
実際には自分の内側にあるものが、
外側の現実とつながるために、
この共振を起こしている。
魂はこの体験を望んでいる。
無限の可能性を持つ魂として、その内側に存在する特定の方向性が、
外側にある現実のひとつの出来事へと結びつくとき、
共振を起こす、この感覚を魂は望んでいる。
そしてこの共振の感覚だけが、
死の境界を超えていくことができる。
それは愛と呼ばれるかもしれないし、
喜びと呼ばれるかもしれない。
まちがいなく言えることは、
私たちは誰もが待ち望んでいる。
自分の内なる感覚が
外のたったひとつのことと結びついて、
すべてがオープンになるその瞬間を。
その感覚を伝える術はどこにもない。
だから人はそれを唄にし、
物語にし、
その周辺をなぞることで、
その感覚につながろうとする。
だけどそれを実際に体験するまで、
それはただの形にすぎない。
共振を体験した人だけが、
唄や物語に託された
本当の意味を知ることができる。